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なるべく削らない・神経をとらない・抜かない

歯はいちど削ってしまえば、もう二度ともとに戻らない貴重なものです。
しかも、大きく削ってしまったり、神経を取り除いてしまうと、その歯は格段に弱くなってしまいます。

当院では、"できる限りご自分の歯と永くお付き合いしていただきたい"という方針のもと、
基本的に「なるべく削らない・神経をとらない・抜かない」という姿勢でむし歯治療にあたっています。


例えば、歯の神経にぎりぎり達してはいないけれども、とても深いむし歯があるとします。
当院では10年、20年先を見据えて神経をできるだけ残すようにしています。
というのも、神経がある歯と神経がない歯では、歯の寿命に後々大きな差が出てきてしまうからです。
それは生木と枯れ木の違いに似ています。神経のない歯は枯れ木です。
生木(神経のある歯)に比べ、スカスカで弾性のない状態になってしまいます。


しかし、ようやく神経を残して無事治療を終えても、体調を崩したり風邪をひいて熱を出したりすると、それが引き金となって神経が再び興奮してしまい痛みがでることがあります。
すると「治した歯がまた痛くなった。いい加減な治療をしているのではないのか。」と言われてしまうこともあります。

このようなトラブルを避けたいがために、神経に近いむし歯は神経を取ってしまう先生もいらっしゃるのです。
「治療後に痛みが出た」=「歯に良くない治療、いい加減な治療」とは限らないのが難しいところです。

ちなみに、神経に近いむし歯の治療は、むし歯を取り除き、神経を保護する薬をひいてから歯科医療用プラスチックや金属の覆いをして終了します。
終了後3か月ほどすると、神経の周囲にカルシウムが徐々に沈着し、神経が保護されて落ち着いてきます。

むし歯治療にもさまざまな方法があります

【レーザーによるむし歯治療】
詳しくは「レーザー治療」をご覧ください。

【経過観察(要観察歯)】
昔と異なり、現在は「要観察歯(C0)」という考え方が導入されています。
見た目は、歯の溝が茶色っぽくなっていたり、チョークのような人工的な白さが歯の一部にあったりします。
これは、放っておくとさらにむし歯が進行する恐れがあるけれども、現段階ではごく初期なので処置の必要はない歯ということです。

先にも述べましたが、歯は治療で一度人の手が入ってしまうと極端に弱くなってしまいます。
むしろ治療をしないことが最善の治療であるということもあるのです。
また、この段階で継続的に正しいお手入れ(予防)をおこなうことで、本格的なむし歯への移行を防いだり遅らせたりすることができます。
あるいは、健全な歯への回復(再石灰化)を期待できる可能性もあります。

【再石灰化療法】
要観察歯の再石灰化を促進し、健康な歯への回復をめざします。
詳しくは「再石灰化療法」をご覧ください。

痛みを軽くする治療をおこなっています

当クリニックでは痛みをより軽減する治療を受けられます。

症例によっては、麻酔なしでもレーザーで治療を行うことができます。
小さなお子さんや体に負担の掛けられない高齢者にはお勧めです。

また、麻酔が必要な場合でも、コンピューター制御された痛みの少ない麻酔注射器と、麻酔薬を体温に近い温度にできる(体温に近いほうが刺激が少なく、痛みを感じにくくなります)ウォーマーをご用意しています。
無痛治療

むし歯ができるメカニズム

むし歯(う触)とは、酸によって歯が溶かされる病気のことです。
歯にねばねばとこびりついている歯垢(しこう)の正体は、単なる食べかすなどではなく、むし歯の原因となる細菌の塊です。
この細菌が食べものの糖を利用して酸をつくり出し、その酸が歯をじわじわと溶かしてしまいます。
糖は砂糖だけではなく、ご飯やパンなど多くの食べものに含まれています。

【歯の脱灰と再石灰化】
お口の中では、歯が溶ける「脱灰」(だっかい)と歯が元に戻る「再石灰化」(さいせっかいか)
という現象が常に入り乱れて起こりバランスを保っています。

- -脱灰のメカニズム- -
【1】むし歯の原因となる細菌が、食べものに含まれる「糖」を利用して「酸」をつくり出します。
次へ
【2】細菌によってつくり出された「酸」によって、お口の中が酸性になります。
次へ
【3】お口の中が酸性になってしまうと、歯のエナメル質からリン酸とカルシウムが溶け出します。
 この現象を歯の脱灰といいます。

- -再石灰化のメカニズム- -
【1】唾液(だえき)がお口の中を洗浄して中和し、歯のエナメル質からリン酸とカルシウムが
 溶け出すのを抑えます。
次へ
【2】唾液が、脱灰した歯にリン酸とカルシウムを供給して、歯のエナメル質が補修されます。
 この現象を歯の再石灰化といいます。

むし歯は予防できる病気です

むし歯は予防できる病気ですむし歯は、「毎日きちんと歯みがきをしていても、なってしまう仕方のないもの」ではありません。

お口の中で再石灰化(※1)が優勢であれば、歯は健康な状態を維持することができ、脱灰(※2)が優勢であるとむし歯が進んでしまいます。
つまり、むし歯は、「歯」と「細菌(歯垢)」と「糖」という3条件がすべて揃ったためにお口の中が酸性に傾いてしまい、バランスが崩れて脱灰が優勢になる状態が長く続いてしまったときに発生します
※1:リン酸とカルシウムから歯のエナメル質が補修されること
※2:歯のエナメル質からリン酸とカルシウムが溶け出すこと

逆にいえば、むし歯は要因を揃えないようにすることで予防できる病気なのです

■早期発見、早期治療(経過観察、再石灰化)
むし歯は、自覚症状がではじめているのであれば、もう既にかなり進んでしまっている段階です。
すぐさま治療を受けなければなりません。

ご存じのとおりむし歯は自然には治りません
「歯医者が怖いから」「通う時間がないから」などと放ったらかしてしまうとさらに進行し、
治療が複雑になり、治療期間が長くかかってしまうだけです。
(しかし、初期のむし歯には例外もあります。ごく初期のむし歯であれば、削らずに経過観察したり)、再石灰化療法をおこないます。)

■むし歯治療のゴールは、予防のスタート
さて、あなたがむし歯になってしまい、治療を終えた直後だと仮定しましょう。
ここで、あなたはどのように考えていらっしゃるでしょうか。

「ああ、これでようやく歯医者通いから解放された。歯医者はもうこりごり!」
と、新たなお口のトラブルが発生し次に歯科医院にかけこむ時まで、また今までと同じ生活に戻られるのでしょうか?
それとも、「二度とむし歯にはなりたくないな。でも、なんで私はむし歯になるんだろう?むし歯って予防できるのかな?」とむし歯の原因と予防に関心を持たれるのでしょうか?

残念ながら歯は身体の他の部分と異なり、再生能力がありません。
よく、「むし歯になったら治せばいいよ」と思っていらっしゃる方がいるのですが、現在の歯科医療技術では、いちど治療した歯は本来の健康な歯に比べて格段に弱く、「いちどむし歯になったところ」=「むし歯になりやすいところ」になってしまいます。
すぐに対策をたてなければ、せっかく治療したのにまた同じ場所にむし歯が再発してしまいます。

毎日のお口の中の歯の働きは想像以上に過酷なものです。
いちども治療したことのない健康な歯の方が、断然強いのです。

もしむし歯になってしまったのであれば、なぜむし歯になるのかということ、むし歯にならないように対策(予防)をとることが可能であることを知っていただきたいと願っています。
むし歯治療の終わりは、むし歯の予防(正しい歯みがき、食生活の改善など)をスタートする絶好の機会です。

大人のための予防プログラム『歯ートフル倶楽部』
当院では、「歯ートフル倶楽部」という大人(高校生以上)のむし歯予防のためのクラブを設けています。
このクラブは、入会金・年会費などは一切無料ですし、基本的に全て保険適用です。(詳しくは「当院の予防歯科プログラム」をご覧ください。)

「治療のために」ではなく、「痛くならないように、ご自分の歯で一生過ごせるように予防のために)」歯科医院に足を向けていただきたいのです。

子どものむし歯予防

お子さまのむし歯予防に関心の高い保護者の方は、近年ますます増えているように思います。

歯みがきを嫌がるお子さまと毎日格闘しながら必死に歯みがきをし、フッ素の入った子ども用歯みがき剤やお子さまの好きなキャラクターの歯ブラシを購入したり、お菓子をねだって泣き叫ぶお子さまをなだめたり・・・と涙ぐましい努力をされているお母さんも少なくありません。

確かに、そのような毎日の管理が、むし歯予防に一番重要なことはいうまでもありません。
しかし、そのようにむし歯予防に熱心な方でさえ、歯科医院でお子さまのむし歯予防のお手伝いができることをご存じの方は意外に少ないようです。

私は歯科医師ですので、自分のこどもがむし歯だらけではさまになりません(笑)...ので、一応子どもの歯の管理には気を配っています(行き届かないこともありますが...)。
私の子どもも他のお子さまと同じように、アイスクリームやチョコレートが大好きで、歯みがき嫌いです。
毎日歯みがきを嫌がる子どもをなだめすかして歯みがきさせ、最低1日1回は(特に就寝前には絶対に)大人が仕上げみがきをし、歯みがき後のフッ素スプレーを欠かしません。
また、アメ・ソフトキャンディー・キャラメルなど長時間口の中にとどまる甘いお菓子は与えませんし、シーラント処置は全ての奥歯に行いました。
さらに、毎月歯科衛生士に口腔清掃(ポリッシング)・むし歯のチェック・フッ素塗布・(必要に応じて)シーラントの補修をしてもらっています。
おかげさまで、今のところむし歯は1本もありません。

v当院では、「歯っぴーくらぶ」というお子さま(乳幼児から中学生まで)のむし歯予防を目的としたクラブを設けています。(詳しくは「予防」をご覧ください。)
このクラブは、入会金・年会費などは一切かかりませんし、基本的に全て保険適用ですので、「さいたま市子育て支援医療費受給資格証」を提示していただければ窓口負担金も無料になってしまいます。(もちろん他の自治体の補助も適用されます。)
つまり、金銭的負担は無く、お子さまのむし歯予防処置を受けることができるのです

利益追求のためにクラブをつくったのではありません。
「こどもたちにむし歯で痛い思いをしてほしくない。"予防のために歯科医院に通う"ということを知ってほしい。」という願いがこもっています。
どうぞ大いに利用なさってください。

むし歯治療の流れ

むし歯の大きさ、場所、深さ、歯の神経に達しているかいないか、歯の神経が生きているか死んでしまっているか...など、むし歯の状態によって治療方法は異なってきます。
以下は、基本的なむし歯治療の流れです。

▼むし歯のレベル:C1
C1【むし歯の深さ・状態】
歯の表層(エナメル質)だけの小さなむし歯。
奥歯の噛む面、歯ぐきと歯の境い目、前歯などによくみられる。

【治療方法】
むし歯の部分を削り、コンポジットレジンという白い歯科医療用プラスチックを詰めて補修します。

【治療選択】
・コンポジットレジン

▼むし歯のレベル:C2
C2【むし歯の深さ・状態】
歯の第2層(象牙質)まで達したむし歯

【治療方法】
むし歯の部分を削り、神経に近い場合は神経を保護する薬をひいて、コンポジットレジン、またはインレー(部分的なかぶせ物)で補います。
むし歯がかなり深く(神経に近接)、治療後に痛みが何日も継続してしまうのであれば、神経を取り除く処置に移行することもあります。

【治療選択】
・コンポジットレジン
・インレー

▼むし歯のレベル:C3
C3【むし歯の深さ・状態】
歯の神経(歯髄)まで達したむし歯

【治療方法】
むし歯と神経を取り除き、根の管の中を4~5回滅菌洗浄し(根の中の菌の状態、症状などによって回数は異なります)、空洞化した根の管の中を最終的な薬で隙間なく埋めます。
(「根管治療」「歯内療法」といいます。)
治療の終わった根の上に支台を立て、クラウンをかぶせます。

【治療選択】
支台とクラウン

▼むし歯のレベル:C4
C4【むし歯の深さ・状態】
放置してしまい、歯の根の部分しか残っていないむし歯

【治療方法】
残念ながら、抜歯になることがほとんどです。
抜歯をせずに残せる場合は、C3の治療とほぼ同様です。
ただし、この状態になると根の先端に膿がたまっているので、何度も洗浄をおこう必要があり、回数・治療期間がかかります。
また、膿が根の周りの骨を溶かしてしまっている場合が多く、軽く叩いただけで響きます。
響く感じが落ち着くまで、支台を立てかぶせ物をつくることができません。

【治療選択】
歯が残せた場合:支台とクラウン
抜歯した場合:部分入れ歯/ブリッジ/インプラント

▼むし歯のレベル:根尖性歯周炎(以前神経処置をした歯の細菌感染。根の先端に膿がたまってしまう。)
【むし歯の深さ・状態】
1:以前に神経の処置をした歯の、根の先端に膿が溜まっている状態(症状が弱く痛みなし)。 
 歯ぐきにニキビのようなものが現れます。
2:以前に神経の処置をした歯の、根の先端に膿が溜まっている状態(症状が強く痛みあり)
歯ぐきが大きく腫れ、夜も寝られないほどの激しい痛みがともないます。

【治療方法】
1:体調不良時にニキビのようなものが歯ぐきに現れ、体調が戻ると消えてしまいます。
これは歯の根の先端で細菌の活動が活発になって膿ができ、膿が周りの骨を溶かして外に出ようとしているのです。
この段階ではまだ軽症なので、体調が良い時は体の抵抗力が細菌の活動を抑え込んでいます。
何度も繰り返してしまうと、症状がひどくなってくることがあります。ニキビのようなでき物に気づかれたらすぐにご相談ください。
2:以前のかぶせ物・支台・根の管に詰めてある薬を取り除き、根の先端部にたまった膿を抜きとります。
C3の処置とほぼ同様ですが、激しい炎症を抑え、増殖した細菌を滅菌するために、何度も洗浄・薬の交換をおこないます。回数も治療期間もかかり、ときには1週間に1度の来院で3か月近くかかることがあります。
また、治療後も45%程の確率で再発の可能性があるといわれ、再発を繰り返すようであれば、抜歯しなければならないこともあります。

【治療選択】
支台とクラウン

むし歯治療についてよくある質問

むし歯の治療が終わってしまえば、その歯はもう虫歯になりませんよね?
歯全体を覆うかぶせ物をしたら、もうむし歯になりませんよね?
「差し歯」が取れたので付けてください。
かぶせ物にはどんな種類があるのですか?


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